■ 微かな希望は不信仰 / マルコの福音書9:14~29
- マルコの福音書9:14~29
- 2005年9月4日
- 読了時間: 3分
イエスの前に一人の少年が連れて来られた。群集が取り囲んでいた。少年の父もいた。 少年は幼いころから、悪霊に取りつかれていて、時には彼自身の命さえ危ぶまれるほどの状態を呈した。悪霊は彼をひきつけさせ、彼を地面に打ち倒し、泡を吹かせた。
こう言う記事を現代の私達が見ると、医学の未知な時代そのものを笑ってしまいたくさえなる。病気や精神的病のすべてが、聖書観によると汚れた霊、またはサタン、悪霊によると書かれているからだ。だが、現代は全く違う。すべては学問研究の対象であり、精神と体の両方が医学研究の対象であり、宗教的祭儀や癒しは疎んじられる。つまり、常識的見地がまっとうであって、宗教的見方は怪しいという目で見られている。だが、人間を薬と学識だけで治療したりすることで治せるのだろうか。
先日、中学生の少年が警官を刺して拳銃を奪おうとした事件があった。新聞にこういう記事が載り、私は非常に考えさせられた。 少年はものを尋ねる振りをして、警官を刺した。苦痛の中でも警官は必死になって、職務に徹した。少年を諭し、拳銃が誰かを傷つけないようにと懸命だった。長い間、自殺願望を持っていた少年は、その銃で自殺する積もりだったらしいが、自己中心な自分の思いが、警官を死に至らしめることは予想外だったことに目が覚めた。血を流し、苦しむ警官を見、また自分を一生懸命になって諭す相手に対し、我に帰った少年は心から祈った、ということだった。「救急車が早く来てください。どうか、死なないでください・・・」
人は霊的生き物である。肉体の欲求を満たすだけが人生ではない。食べるパンも必要だが、魂を養うパンも必要だ。今の日本、後者のパンが忘れられていると思うし、その必要性も語られない。だからこそ、教会は声をあげなければならない。教会は埋まっていては、誰が叫ぶだろう。石は叫ばない。今、神の霊はクリスチャン達に宿ったのであって、石に宿っているのではない。
イエスの目の前で、父親は必死だった。「先生、子供に取りついた霊は何度も火の中、水の中に彼を投げ込みました。ただ・・もし・・お出来になるものなら、私達を憐れんでお助けください。」 イエスは言われた。「できるものなら・・と言うのか。信じる者には、どんなことでも出来るのです。」 父親は即座に言った。「信じます。不信仰な私をお助けください。」
父の言葉をよく見よう。懇願しているが、そこには迫りがない。イエスでなければならない、なにかが感じられない。イエスだから大丈夫と言う確信がない。彼は良い意味での謙遜でしかないのだ。だが、この謙遜には神に訴える熱さがないのだ。今日、今、このチャンスを逃したら、息子は助からない!と言う危機感と期待が煮詰まっていないのである。
だが、この父親の言葉を読む度、私は自分自身に向かい合わせられる。私だってこの父とどこが違うのだろうか?イエスでなければならない、との思いが私の中に満ちているだろうか?である。そして、あなたはいかがであろう?「どれくらい、神を信じているか?」と、問われて100%と即座に答える人が幾人いるだろう。逆にいるとしても、誰も彼を信じないだろう。99%信じています、と言えても、残りの1%は、神の前にあっては、なんと大きな 数字なのかと思ってしまう。
「霊のことは霊によってわきまえる」とエペソ人への手紙は語る。何%と言われても、数字で心は計れない。魂も霊も同様である。「信じます!」と言う神への言葉を、神は良しとしてくださるし、それ以上を人間は出来ない。どれだけ足りなかろうと、足りないすべてを十字架が背負ってくださることを信じよう。なぜなら、「信じる者には、どんなことでも出来る!」と主イエスが責任を持って下さるからだ。アーメン!
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